「歯冠延長術」について

2012-09-08

皆様こんにちは。長町歯科クリニックの院長 長町 健史です。
9月になりましたが、まだまだ暑い日が続きますね。先日お伝えしました症例の更新については、もうしばらくお待ち下さいませ。その代わりと言ってはなんですが、今日は、当院の外科処置のなかでも「抜歯」の次に多い、「歯冠延長術」という術式を紹介したいと思います。「歯冠延長術」とは、歯ぐきや骨を削ることによって、虫歯や歯が割れている部分を歯ぐきの上に出す治療法のことです。この処置をするとしないとで、かぶせ物の寿命は大きく変わります。私は、患者さんにUFOキャッチャーに例えてお話をしています。ぬいぐるみをクレーンで掴めたとしても、掴む場所が上の方であればどうでしょうか?ゴールに行く途中に落ちる可能性は大です。しかし、下から掴めたらどうでしょうか?ゴールまで持ちこたえます。かぶせ物もそうです。健康な歯が、全周歯ぐきから出ていればどうでしょうか?かぶせ物はその歯をしっかりと抱くことができます。ここで、僕が強く言いたいのは、「健全な歯が歯ぐきの中に埋もれて、歯を抱けない状態でかぶせ物を入れても、長持ちは期待できない。」という事実です。セラミック等の高級なかぶせ物を入れたとしてもです。もちろん、保険治療で扱う銀歯と比べると、材質的には比較出来ない位優れています。しかし、歯の土台とその上に入る材料は別で考えなければいけません。当院では、適合の良いかぶせ物をお口の中に入れて、長持ちさせることにこだわりを持っています。
それでは、1つの臨床例を出して解説したいと思います。

初診時の状態です。虫歯が歯ぐきの中まで進んでいました。

虫歯を完全に除去した状態です。健全な歯が歯ぐきの上にほとんどありません。

歯冠延長術を行った直後です。少し専門的になりますが、今回は全層弁法という、治癒の早い術式を選択しました。

術後1.5か月後の状態です。健全な歯が、歯ぐきの上に見えてきました。

お口の中で、直接土台を作り、型取りをしました。白い土台の下に健全な歯が見えていることが、大事です。

かぶせ物が入りました。今回は、保険内の銀歯が入りましたが、長持ちが期待できます。もちろん、自由診療のセラミックや金歯を入れると、更に安定性は高まるということを、付け加えておきます。

初診時のレントゲンです。

治療後のレントゲンです。適合状態は良好です。

以上が「歯冠延長術」のおおまかな流れでした。
今後は、当院で頻度の多い治療(歯石除去、根管治療、抜歯等)を、症例を通して解説していきたいと思います。
宜しくお願い致します。

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